「泣いてはいけない」
・・・と、小さい頃に叱られた。
泣かないように、頑張った。
悲しいと、涙が溢れた。
泣かないために、悲しみに蓋をした。
嬉しいと、涙が溢れた。
泣かないために、喜びを振り切った。
悲しみは発酵して怒りに変わり
喜びは味わう間も無く、
指の間からサラサラとこぼれ落ちた。
悲しい時に涙を流せば
こじらせないで手放せただろう。
嬉しい時に喜びを味わえば
豊かな光が胸に点って
行く先を照らしてくれただろう。
泣くことは、泳ぐ時の息継ぎのように
あなたを立ち止まらせることなく
速く、遠くへ進めてくれる。
心の揺れを恐れることなく
受けとめて、見つめて、手放して、
強く、優しい人になれる。
揺れて良いでしょう。
泣いて良いでしょう。
それをするために
あなたは、今、ここにいるのだから。