波紋

玄関で

先に 出ていくひとが
何も言わずに

次に出るであろう
私の靴を

履きやすいように
並べてくれた


そのひとつの 気配りが
「有り難い」事なのだと気づいたら

小さな愛が
波紋のように 胸いっぱいに
広がって 染み渡った

愛は 特別なものではない

瞬間 瞬間の 関わりの中で
生まれては 広がる
波紋たちのようなもの