ひとこと 刺さる

「こんにちは」

そんなひとことを
あのひとが
すれ違いざまに

拗ねて 閉ざしていた 心が
そんな ただのあいさつで
うろたえる

押し込めていた
なん万年分の 喪失感が
溢れて 涙になる

どうして それっぽっちの
人として当たり前の ひとことに
私は 泣けてしまうのだろう

私が泣いているなんて
あのひとはきっと
夢にも思わないだろう

なん万年分の 喪失の痛みを
思い出しているなんて

私だって 半信半疑

でも 刺さるのだから仕方ない

「こんにちは」
なんて ひとことが